ファーストキス
[第6話]
08/13放送

白鷺大学附属病院の病室で一夜を明かした美緒(井上真央)は、昨夜、冗談めかして秋生(平岡祐太)に自分の気持ちを告白してしまったことを後悔していた。そして、会計の書類を持って病室にやってきた秋生に、好きだといったのは芝居だ、と念を押す。すると秋生は、美緒が本当の気持ちを言ってくれたと思ったから、自分も本当の気持ちを答えたい。少し、時間をくれと真面目な顔で返す。美緒は、その場の雰囲気に耐え切れず、秋生の言葉を聞く前に病室を飛び出してしまう。

同じころ、和樹(伊藤英明)、一流(劇団ひとり)、勝(阿部サダヲ)の3人は、首都圏に接近している台風に備えようとしていた。台風のせいで撮影が中止になり、家にいたのだ。一流や勝は「美緒を迎えに行け」というが、和樹は心配しながらも、ケンカをひきずって意地をはり、なかなか素直に迎えに行かれない。一方、一流から冷蔵庫の中身を整理するよう命じられた勝は、賞味期限切れと思われるチョコレートのケースを発見し、ゴミとして処分する。が、そのケースの中身は、美緒のニトロだった。勝はそのゴミを和樹に渡し、「捨てて来い。そして迎えに行ってこい」と命じる。和樹がゴミを捨てに行こうとすると、ちょうどそこに美緒が戻ってきた。和樹は安堵しつつも、憎まれ口をたたいてしまう。

秋生の元に看護師から患者の忘れ物だと届けられたのは、美緒のニトロケースだった。秋生は蓮子にそれを届けるが、「気になるなら連絡してあげたら?」と言われる。

和樹たちは、一流の指揮の下、台風に備えて家の中を点検し、水やラジオ、懐中電灯などを用意する。するとそこに、はるな(酒井若菜)がやってきた。はるなは、今日が誕生日なのに台風のせいで誰も祝ってくれないから泊めてほしい、と一流に頼み込む。それを聞いた一流は、今日だけはいいよとはるなを泊めてやる。

そんななか、美緒は、いつも首から下げているニトロケースがないことに気付く。「でも、ニトロの予備はあるから大丈夫」という美緒は冷蔵庫をあけるが、そこにはない。そこで初めて勝がチョコレートと間違えて捨ててしまったことに気づく。具合が悪いときにそれがないと、サイアク心臓が止まってしまうときき、青ざめる勝。そのとき、秋生から電話が入った。秋生は、美緒が病院にニトロケースを忘れていったことを連絡してくれたのだ。和樹はその電話を奪い取り、自分が予備のニトロを捨ててしまったことを秋生に打ち明け、いまから病院まで取りにいく、と言い出す。一緒に行くという勝には「留守を頼む」と言い、一流から借りたオートバイに乗って、暴風雨の中、ひとりで病院に向かう。美緒はそんな和樹に「死ぬなよ」と一言、言う。

それを聞いた秋生は、自分が届けてもいいかどうかを蓮子に聞く。その時、やってきた青木教授(柴俊夫)がそれを聞いていて、「一人の患者に肩入れするな」と秋生をとめる。そして、蓮子にも「しっかり指導してよ」と厳しく言う。
しかし、なかなかやってこない和樹を心配した秋生は、今発作が起きては大変だと、自分が届けに行くと言い出す。見かねた蓮子が家に電話をかけるが、ずいぶん前に出たという。

美緒たちは、2時間も連絡のない和樹を心配していた。責任を感じた勝が「見てくる」というが、美緒はそんな勝に「勝のせいじゃないから。留守を守るって言われたでしょ。お兄ちゃんとの約束守りなよ」と言う。その頃、バイクを走らせていた和樹は、パンクして立ち往生している車を助けていたのだ。しかも、その間にバイクのエンジンもかからなくなってしまっていた。しかし、携帯もつながらず、状況のわからない美緒たちはどうすることもできない。

そんななか、急変しては困るからと、秋生が、嵐の中、ニトロを届けてくれた。秋生は蓮子の反対を押し切って、病院を出てきたのだ。しかし、和樹とはすれ違ってしまったらしい。美緒は、秋生に「私、落ち着いてるよ。お兄ちゃんも私も平気だから。絶対、大丈夫」と笑う。
その頃、和樹が白鷺大学付属病院に到着した。蓮子に会い、ニトロは秋生が届けてくれたことを知ると、倒れてしまう。
蓮子から連絡を受けた美緒は、喜んで騒ぎ出す勝たちをよそに、ひとり、部屋で和樹の無事を喜ぶ。

一方、「いつも心配ばかり」と落ち込む和樹に、蓮子は「あなたはあなたのままでいいんじゃないですか?」と励ます。そういわれて安堵した和樹は、もう一度、眠ってしまう。

翌日、美緒のもとに秋生から電話があった。美緒に時間をくれと言ったけれど、美緒には時間があまりないことに気づいた。本当は美緒に好きといわれてドキドキして、嬉しかった。患者のひとりだと自分をごまかすのではなく、自分は自分自身として、美緒といろいろなことを話したい、そう、秋生が誠実に語った。美緒も、今まで時間はないと思ったけれど、今では1カ月もあるって言える。だから、いろんな話ができるよと秋生に言う。

一方で、その頃、蓮子は青木から注意を受けていた。なぜ秋生をとめなかったのか。自分の二の舞にさせたいのか、と。蓮子は何も答えることができなかった。

病院で一夜をすごし、帰ってきた和樹に、「お兄ちゃんのせいだからね。お兄ちゃんが恋だ恋だってうるさいから、私、好きな人、できちゃったからね」と美緒は笑った。それは和樹が見た、久しぶりの、本当の美緒の笑顔だった。
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キャスト
福永美緒 [age20] / 井上真央(いのうえまお)
病気療養のため、ロスにいた和樹の妹。
10年前に両親が離婚し、母親は美緒を引き取り、ロスに連れて行ったのだ。
この夏、完治のための手術を受けられることになったが、それは命にかかわる難しい手術で成功率は高くない。まだ20歳の美緒にとっては、手術はつらい選択だ。まだ恋もしたことがない美緒は、オペをする前に好きな事をしておきたい、どうせ死ぬなら思い残すことなく、なんでもしておきたいと日本にやってきたのだ。
以前はかわいらしい少女だったが、病気のために甘やかされ、今ではとても生意気でワガママな女の子になってしまった。そして、10年ぶりの兄との再会。
「美緒の願い事は、いつだってお兄ちゃんがかなえてやるよ」という昔の約束を思い出し、今まで出来なかったことを、ここぞとばかりに兄の和樹に要求する。美緒の手術のことを知っている和樹は願いを叶えるために奮闘する。美緒はステキな恋、そして最高のファースト・キスができるのか?


加納和樹 [age28] / 伊藤英明(いとうひであき)
美緒の兄。カメラマン志望だが、いまだアシスタント。
10年前に両親の離婚で別れ別れになるまでは、志高くカメラマンになる夢を持っていた。
しかし、父が新しい妻と暮らすために家を出、ひとり暮らしとなってからは、女たらしのだらしない生活を送っていた。それでも、なんとかプロになりたいと有名なカメラマンの弟子となった。が、その師匠とそりがあわず、仕事に限界を感じてもいた。
今は、仕事仲間でもあり、高校時代の部活仲間でもある、悪友の家に転がり込み、怠惰な共同生活を送っている。そこへ、妹の突然の帰国。10年振りの再会ということもあり、無理やり生活を取り繕うとする。しかし、和樹に劣らず、美緒も変わり、驚くほどのワガママ娘になっていた。こうして、ひと夏、そんな妹に翻弄されることとなる。


二階堂勝 [age30] / 阿部サダヲ(あべさだを)
和樹と同居中のスタイリスト・アシスタント。
高校時代、卓球に熱中していたが、あるきっかけがあり、ファッション界に興味を持つ。そして、無謀にもスタイリストの道へ。しかし、その才能はなかなか開花しない。今は後輩で、職場も同じところの一流の家に、和樹とともに転がり込んでいる。


進藤一流 [age28] / 劇団ひとり(げきだんひとり)
和樹と同居しているメイクアップアーティスト。こちらはアシスタントではない。
元々、親が所有していた家に一人暮らしをしていたが、高校時代からの悪友・和樹と勝が転がり込んできて、共同生活をするはめになった。家事は三人で分担するはずだったが、気がつくと、自分ひとりがやらされている……。


結城秋生 [age26] / 平岡祐太(ひらおかゆうた)
美緒の日本での担当医がいる白鷺大学付属病院の新人医師。
美緒のはじめての採血の際、「痛い!へたくそ」とののしられ、「嫌な患者だ」と思うが、どこか気になる存在で、不思議と心が通じ合うことも。その後も、何かと美緒の助けになることが多いが、ふたりとも、あえてつっけんどんな態度を取る。


斉藤はるな [age27] / 酒井若菜(さかいわかな)
銀行員で、ファッション雑誌の読者モデル。和樹のルックスに惚れていて、自分は彼と付き合っているつもりでいる。時折、お小遣いをあげたりしていたが、他に女がいることに気づき、「お金返して」と和樹の家を訪れる。そんなとき、美緒と知り合い、憎まれ口を叩きながらも何故か意気投合、人生初の親友となっていく。


番場大 [age50] / 竹中直人(たけなかなおと)
個性派の有名カメラマン。自分のスタジオを持っており、主な仕事はファッション誌のグラビア撮影。アシスタントに厳しく、衝突することも多い。和樹もその一人だったが、番場としては和樹の才能はどこか認めている。
高木蓮子[Age33] / 松雪泰子(まつゆきやすこ)

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