不毛地帯
[第12話]
近畿商事の副社長・里井(岸部一徳)が提案した千代田自動車とフォーク社の間で合弁会社を作るという提案にフォーク社は好感触を示し、日本に覆面調査団を派遣してきた。千代田自動車の経営実態を確認するためだ。01/21放送
ところが覆面調査団のなかに責任者・アーリックマン(ブレット・コールマン)がいないことに壹岐(唐沢寿明)は気づく。壹岐はアーリックマンの行方を追跡する。フォーク社側によれば、オーストラリアのフォーク社で緊急な事案が発生したためにオーストラリアに向かったという。壹岐はほんとうにアーリックマンがオーストラリアに入国したか、塙四郎(袴田吉彦)に足取りを調べさせた。
その頃、副社長・里井と業務本部長・角田(篠井英介)は、フォーク調査団を案内する“販売店リスト”を八束に渡していた。八束は「調査団メンバーの経歴を調べておくべきではないか」と里井に言うが、里井は「壹岐に何を言われたかは知らないが口を挟むな」と八束に言うのだった。
翌日、里井たちと調査団メンバーとの会合を開く。里井たちは調査団に“販売店リスト”を提示する。しかし調査団はそれを拒否した。そして自分たちが用意したリストを提示してくる。そのリストには、経営が悪化している販売店がリストアップされていた。
海部(梶原善)の報告で、壹岐はフォーク調査団が里井たちの販売店リストを拒否したことを知った。そのとき塙も、アーリックマンがオーストラリアに立ち寄った形跡がないことを報告する。
その頃、八束は調査団を連れて販売店を訪れていた。1店舗の見学を終えた時点で、ラディは「販売店以外の場所に行きたい」と言いだす。ラディが行きたがった先は販売店ではなく、中古車販売店や千代田自動車の車を使っているタクシー会社などだった。
八束はラディの行きたがった場所に案内するが、千代田自動車の自動車の評判はどこも良くなかった。八束はそれを隠すため、嘘の内容を通訳した。ところが、実はラディは通訳など必要がないくらい日本語をよくわかっていたのだ。ラディは神戸生まれの神戸育ちだったのだ…。八束が嘘を通訳していることを気づきながら黙っていたのだった。
壹岐が好きな千里。しかし壹岐は多忙でなかなか会えない。心乱れる千里は久々に比叡山で修行をしている兄・清輝(佐々木蔵之介)を訪ねる。清輝は千里の気持ちを察し、「共生」という言葉を書にしたためた。清輝は、仏教の根本は「自他共に生きる共生の心にある」という。そして「自分の執着だけで動けば自分を縛するだけでなく相手も縛することになり、共生の世界を失い、修羅の世界に没する」とアドバイスした。
フォーク社の訪日のなか、里井は再び発作を起こす。妻・勝枝(江波杏子)とともの病院を訪れた里井に、医師は入院を勧めた。しかし、里井は、フォーク調査の件が終わるまでは自宅療養にしたいと医師に頼み込んだ。
里井は車椅子に乗ったまま病院を出て自宅へと戻る。その様子をたまたま東京商事・鮫島(遠藤憲一)に目撃されてしまう。しかし里井は気づかなかった。
角田は勝枝から連絡を受けて里井家を訪ねた。里井は、明後日に行われるフォーク調査団との会合に自分の代理として出席するように命じる。そして発作の件は誰にも言わないよう念を押した。
しかし角田は会社に戻ると里井の件を社長・大門に報告する。角田の報告を聞いた大門は、壹岐をアメリカから呼び戻す。
角田は悩んだものの、壹岐の帰国を里井に報告した。それを聞いた里井は、無理やり出社すると、大門と壹岐が打ち合わせをしているところに乗り込んだ。里井は、壹岐がフォーク社との会合に出席したら、合弁の話がひっくり返されかねないと言う。そこで壹岐は、アーリックマンの不可解な行動に触れ、調査の必要性を訴えた。しかし里井は壹岐の言葉を聞こうとしない。
壹岐が小料理店に入ると、たまたま鮫島がいた。鮫島は壹岐に気づくと、すぐに隣席へと誘った。鮫島はフォーク社の話を切り出す。どうも様子をうかがっているようだった。そのうち、鮫島が里井の健康状態について知っていることが分かり、これには壹岐が驚いた。
里井たちはフォーク調査団と最終会合に臨んでいた。その席にはアーリックマンの姿もあった。アーリックマンは「合弁会社設立を前向きに検討する」と里井に言う。里井は大喜びで大門に報告した。
しかし、調査団の不可解な行動に不安を感じる壹岐は、毎朝新聞社・田原(阿部サダヲ)と極秘で会っていた。壹岐は田原に、近畿商事の情報を提供することを条件に、アーリックマンの動向を聞いていた。田原はアーリックマンが来日してからずっとその動きを追っていたのだ。
田原の話では、アーリックマンが来日したのは1週間前。それからずっと鮫島と行動を共にしていたというのだ。
壹岐はアーリックマンの動向を大門に報告する。
03/11
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キャスト
壹岐正 / 唐沢寿明(からさわとしあき)1912年生まれ。陸軍大学校を首席で卒業したエリート軍人である。
第二次大戦中は、軍の最高統帥機関だった大本営の参謀として作戦立案をしていた。
終戦を受け入れない関東軍を説得するため、停戦命令書を携えて満州に向かう先でソ連軍に拘束された。
その後軍事裁判で強制労働25年の刑を宣告、シベリア極北の流刑地ラゾに送られた。
11年間に及ぶ強制労働に耐え昭和31年に帰国。
帰国後近畿商事に入社。
兵頭信一良 / 竹野内豊(たけのうちゆたか)
近畿商事東京支社鉄鋼部勤務。
陸軍士官学校の壹岐の後輩にあたる。
近畿商事の将来を世界的な視点でとらえている。
商社の世界に戸惑う壹岐の、良き理解者となる。
壹岐佳子 / 和久井映見(わくいえみ)
壹岐正の妻。
壹岐の陸軍大学校時代の担当教官であった坂野の娘である。
壹岐のシベリア抑留中は女手ひとつで二人の子供を育てた。
大阪府庁で働いている。
壹岐直子 / 多部未華子(たべみかこ)
壹岐の娘。
佳子の苦労を目の当たりにしてきたため、壹岐に二度と戦争には関わらないでほしい、と懇願した。
父の商社就職を心から喜んでいる。
川又伊佐雄 / 柳葉敏郎(やなぎばとしろう)
防衛庁の空将補で、噂によると次期空幕長らしい。
自衛隊のあり方に疑問を抱いているので、自分が空幕長になって、自衛隊を国民に認められるものに変えたいと考えている。
壹岐とは陸軍士官学校時代からの同期で、親友。壹岐がシベリアに抑留されている間は佳子に仕事を紹介するなど、壹岐家を支えた。
貝塚道生 / 段田安則(だんたやすのり)
防衛庁官房長。
警察出身の元内務省役員。鮫島と手を結び、防衛庁の次期主力戦闘機にグラント社のスーパードラゴンを採用するよう総理派に働きかけている。
芦田国雄 / 古田新太(ふるたあらた)
川又の部下。防衛部の防衛課計画班長。
小出とは防衛庁空幕時代の同僚である。
金と女に目がないが、気の弱い臆病な男。
谷川正治 / 橋爪功(はしづめいさお)
満州関東軍の幕僚。
壹岐ともどもシベリアに送還。
帰国後は、シベリア帰還者と遺族のための組織「朔風会」運営。
竹村勝 / 中丸新将(なかまるしんしょう)
秋津紀武 / 中村敦夫(なかむらあつお)
大陸鉄道司令官、中将。
壹岐とはシベリア抑留中にハバロフスクで再会した。
極東軍事裁判に、ソ連側の証人として出廷することを強要され、一度はそれを受け入れた。
秋津精輝 / 佐々木蔵之介(ささきくらのすけ)
秋津中将の息子で、千里の兄。
フィリピンで終戦を迎えた。多くの部下を死なせてしまったことに大きな責任を感じ、仏門に入って厳しい修業をしている。
秋津千里 / 小雪(こゆき)
大陸鉄道司令官・秋津中将の娘。
京都に住んでいる。夢は陶芸家である。
壹岐に「父の最期について話を聞かせてほしい」と手紙を送る。
亡き父の面影を感じさせる壹岐に心を惹かれる。
久松清蔵 / 伊東四朗(いとうしろう)
経済企画庁長官。
国防会議のメンバー。国防会議では防衛庁の次期主力戦闘機を決定する。
壹岐とは、戦時中に早期和平工作について議論しあった仲で、旧知の間柄である。
政界や官僚とのつながりがとても広い。
田原秀雄 / 阿部サダヲ(あべさだを)
毎朝新聞政治部記者。
現在は防衛庁の、次期主力戦闘機の機種決定に関連する問題を取材中。
ジャーナリスト魂にあふれる人間。
新聞記者ならではの情報で、鋭い視点で壹岐らに迫る。
浜中紅子 / 天海祐希(あまみゆうき)
クラブ「ル・ボア」経営者の娘。
店でピアノの弾き語りをしている。
情報通で、商社の人間とも交流が深い。
兵頭とは以前からの顔なじみ。
鮫島辰三 / 遠藤憲一(えんどうけんいち)
東京商事航空機部長。
「航空機の東京商事」という実績を築いた人物である。
防衛庁の次期主力戦闘機には、グラント社のスーパードラゴンを推している。
目的のためには手段を選ばない男で、別名「空のギャング」。
大門一三 / 原田芳雄(はらだよしお)
近畿商事代表取締役社長。
開拓精神旺盛で、大局を見極め大胆な施策を打ち出すトップらしさ溢れる人物。
近畿商事の国際化にあたって、壹岐の情報収集力や状況分析力に目をつけ、近畿商事で働かないかと誘う。
里井達也 / 岸部一徳(きしべいっとく)
近畿商事東京支社長。
鉄鋼や航空機を扱う東京支社のトップ。防衛庁の次期主力戦闘機受注を獲得するために、防衛庁の中枢と太いパイプを持つ壹岐を航空機部に異動させればよいと提案する。防衛庁の次期主力戦闘機にラッキード社のF104を推している。
松本晴彦 / 斉木しげる(さいきしげる)
小出宏 / 松重豊(まつしげゆたか)
近畿商事東京支社航空機部に勤務。
防衛庁の次期主力戦闘機受注のために、川又の部下である芦田に接触。
かつては防衛庁の防衛部調査課班長であったが、近畿商事に機密情報を漏らしたことが発覚しかけたのをきっかけに近畿商事に入社という過去を持つ。
自分を拾ってくれた近畿商事に恩義を感じて、実績を挙げようとしている。
海部要 / 梶原善(かじはらぜん)
塙四郎 / 袴田吉彦(はかまだよしひこ)
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