名探偵の掟
[第1話]
04/17放送

推理小説には、さまざまはお約束があることをご存知だろうか。
名探偵が名推理で事件を解決していくのも“掟”である。

「なに!殺人事件!? わかったすぐに行く!」
緊急連絡で飛び起きた大河原警部(木村祐一)は、事件の現場へ急行する。
そこに待っていたのは、本日付けで配属になった新人女刑事・藤井茉奈(香椎由宇)だった。

大河原警部藤井茉奈に「ペーパー」という愛称を付ける。これも推理小説の“掟”なのだ。
大河原警部とペーパーはさっそく犯行現場に急いだ。

ところが、犯行現場に到着した警部達はなかなか捜査を行わない。大河原警部は名探偵の登場を待っていたのだ! もちろん、これも“掟”なのである!

ようやく自転車に乗って現れたのが、名探偵・天下一大五郎(松田翔太)だった。

被害者はモリノサクゾウ。自室で囲炉裏の火にあたっていたところを背後からの一撃で殺されていた。
第一発見者・テツキチの話では、この日、釣りに行くために迎えにいったら、頭から血を流している作蔵を発見。
玄関には突っ張り棒がしてあって、室内には入れなかったという。

密室殺人――これも推理小説の“掟”だ!

そんな中、壁紙家に村人が集まり「祟り騒動」が勃発し、村中が大騒ぎになっていた。
長男・タクヤが他の土地の女性・キミコが結婚する噂が広まったのだ。
壁紙家には、他の土地から嫁が来ると祟りが起きるという言い伝えがあった。
村人たちは「サクゾウが死んだのも壁紙家の祟りだ」と騒いでいたのだ。
この壁紙家では、遺産を巡ってお家騒動が勃発していた。

そんななか、新たな殺人事件が起きる。
壁紙家でタクヤとの結婚を望んでいたレイコが殺されたのだ。
第一発見者のタクヤが疑われて署に連行されるが、壁紙家の後妻・サエコと婚約者のキミコは「タクヤに殺人なんか出来るはずがない」と完全否定した。

証拠不十分で翌朝には釈放されるタクヤ。
ところが、朝になってタクヤが壁紙家に戻ってみると、なんとキミコが浴室で手首を切って自殺を図っていたのだ! 
それも、「全て自分の犯行です」という遺書を残して――。

キミコの自供で事件は一件落着!
いえいえ、ここからが本格ミステリーの見せ場なのだ!! これも“掟”である!

事件の真相はこうだ。
レイコを殺害したのはキミコ。
しかし、サクゾウとキミコを殺したのは、壁紙家の後妻でありタクヤの義母・サエコだった。
サエコはサクゾウに長い間、金を脅し取られていたのだ。壁紙家に嫁ぐ前、サエコは風俗で働いていて、サクゾウはサエコのお得意様だった。それをネタに強請られていたのだ。

サエコがキミコを殺したのは、サクゾウを殺した罪をなすりつけるためだった。
実は、サエコはキミコの本性を探り当てていたのだ。キミコがタクヤと結婚をしようとしたのは壁紙家の遺産が目当てだったのだ。実はキミコはサクゾウとは別の男と付き合っていた。
サエコはその証拠となる写真も握っている。そこで、罪をなすりつけることを思いついたのだ。これなら壁紙家から追い出せる。一石二鳥を狙ったのだ。

ところが、カッコよく名推理を始める天下一大五郎の前で、サエコが犯行を自供して服毒自殺をしてしまい、事件はあっさりと終幕を迎えることに――。

しかしこの事件には裏話があったのだ。それは、サエコが最後まで守りたかった秘密だ。

なんと、タクヤの実の母は、義母だと思っていたサエコだった。
タクヤはサエコが15歳の時に出産した男の子だった。
年端もいかない娘が子どもを産んだことで、両親に叱責され途方に暮れているとき、ちょうど同じ病院に死産で子どもを失った家族がいて、サエコの産んだ男の子はその家族に「わが子として」育ててもらうことになったのだ――それが壁紙家だった。

天下一大五郎からサエコの秘密を聞かされたタクヤは遺影の前で静かに涙を流すのだった。


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04/24 第2話


04/17 第1話

キャスト
天下一大五郎 / 松田翔太(まつだしょうた)
自称“頭脳明晰、容姿端麗、神出鬼没の名探偵”。「“密室殺人”や“ダイイング・メッセージ”などのミステリーのお約束の謎を解き、真犯人を突き止める」という宿命を背負い、難事件が起こるたびに突如どこからか現れ、当たり前のように捜査に加わり、事件を解決に導こうとする。しかし一方で、“時代遅れ”や“ご都合主義”と批判されることを、異常なまでに怖がっている。
植松慶太 / 入江甚儀(いりえじんぎ)
天下一行きつけのカフェで働いている店員。名探偵として活躍する天下一を慕っており、いつかは助手として事件の捜査に関わりたいと夢見ている。天性の勘で、時には事件の核心を突くことも。
藤井茉奈 / 香椎由宇(かしいゆう)
警視庁捜査一課の新人。疑問を持ちつつも、上司の大河原に促され仕方なく「ヒロインとして、主人公の名探偵と、友達以上恋人未満の微妙な恋愛関係を築かなければならない」という宿命の役回りを演じている。本人は現実主義だが、難事件が起こるたびに様々な“掟”に巻き込まれていくことに。
森山瑞希 / ちすん(ちすん)
警視庁捜査一課の女性警察官で、役目は誰よりも先に現場に駆けつけ、現状を把握、それを上司の大河原に報告することである。大のイケメン好きで、天下一をあからさまにターゲットにしている。
大河原番三 / 木村祐一(きむらゆういち)
警視庁捜査一課の警部。とぼけた推理を連発するが、実はそれは名探偵の見せ場をつくるためで、天下一の推理を裏で操り、実質的には物語の進行役を務めているかなりのキレ者。本格ミステリーの世界を成立させるにはなくてはならない存在で、本人も自分の立場・役目は重々承知している。

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